部活が辛い!ブラック部活に苦しむ教員の嘆きとは

ブラック部活という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

部活動を担当する教員は部活に出て当たり前!と思うかもしれませんが、休みが無かったり、労働に見合ったお給料が貰えていなかったり結構大変なのです。

ブラック部活の実態について調べてみました。

教員が大変な思いをしている「ブラック部活」とは?

「部活が辛い」というのは、生徒だけの嘆きではありません。今や教員もがその言葉を発せざるを得ない状況にあるのです。

部活の顧問も引き受けている教員は、長時間労働に悩まされています。これは今問題となっており「ブラック部活」とも言われているのです。一部では、部活の顧問を引き受けるかどうかの選択権を要求する署名活動も行われています。

政府も働き方改革に取り組んでおり、改めて教員と部活動のあり方について考え始めています。

教育問題に詳しいある大学の教授は、「教員の部活動指導は、仕事なのかボランティアなのかをハッキリするべき」と述べています。「部活というのは学校で勉強以外のことを学ぶためには大切な、日本ならではのシステム」と言う一方で、「自主性を重んじる為のものなのに、平日だけでなく土日もつぶすのはやり過ぎ。仕事とするのであればそれに見合ったお給料を出すべきだし、ボランティアなのであればそれ相応の日数にするべきです。」と指摘しています。

教員の叫び!ブラック部活の実態とは

あるベテラン教員は、部活動は教員の善意につけ込むような仕組みになっていると話します。

そう話す教員も、かつては土日も部活動に熱心に取り組む顧問でした。教員歴は20年以上のベテランですが、部活の顧問に関しては数年前から校長にお願いをして断っているようです。

というのも、部活動に力を注ぐあまり家庭が崩壊したからだと話します。

「元々部活というのは教育外活動であったはずなのに、学校の中でどんどん大きなものとなっていっています。顧問を引き受けるのも本来であれば希望制であるにも関わらず、今は全員が顧問をして当然という感じになっています。」と言っています。

前まではそれこそ部活が生きがいとなっていました。生徒は試合に勝つために一生懸命練習をしており、試合に勝たせてあげたいという思いから先生も熱を入れて指導していました。競技の経験がなかったので、本やDVDを見て勉強をしたり、大会が近くなればそれに比例して練習量だって増えていきました。

でもそんな風にしているのは、この先生に限った事でなくよくあることなんです。教員というのは真面目で責任感がある人が多いので、子供の為と言われると断れません。だから、部活は教員の善意につけ込んだ仕組みとも言えるのです。

ブラック企業と一緒!教員は土日も部活に参加せざるを得ない現実

「週休2日なんて取れた試しがありません。休みの日だって普通に練習試合なんかが入って遠くまで行く事もあるので、むしろ平日より負担があったりします。でも土日も部活に出たからといって相応のお給料を貰えるわけでもなく、あくまでもボランティアという感じです。だから、顧問を持っていない先生をとても羨ましく思ってしまいます。」

「残業代だって出ませんし、頑張る活力が生まれません。しかも部活が忙しいが故に、本来の教師の業務にまで影響が出ますからね。休みもなければお給料も出ず、それに加えて本来の業務が出来ないのはブラック企業と同じだと思いますね。」

本来の業務にまで影響が出てしまうというのは、問題がありますよね。そんな中で仕事を続けていれば、先生がダメになってしまう可能性だってあります。そうなると、生徒にとっても学校にとっても大きな痛手となることは明らかです。

「子供たちのため」と言って教師の善意につけ込むのは、いかがなものかと思います。

こういった問題に対応するために、近年は部活の顧問を外部にお願いしている学校もあるようです。

仕事と生活の調和が望まれる世の中であるにも関わらず、学校の中ではこのような問題で苦しんでいる教員がいるのです。そのようなことはあってはならないのです。

最低賃金にも満たない部活の顧問の苦労とは

30代男性のKさんは、以前軟式テニス部の顧問をしていました。

平日は部活が終わる19時過ぎから、職員室や自宅でテストの採点、教材の用意などをする他にも研修や報告書の作成業務も行っていました。

寝るのは毎日夜中の2時3時になり、だからと言って学校に遅刻することは許されません。通勤中の車内では、信号待ちの間にハンドルに頭を押し付けて眠ることもありました。

土日祝日も、もちろん部活動は休みになりません。大会や練習試合が待っています。部活の顧問だからと言って特別なお給料が出るわけでもなく、通常の休日手当が支給されるのみなのです。その仕組みというのも、4時間以上働けば日額として3,000円出るというもの。例え4時間働こうが、一日中働こうが全く同じなのです。もし4時間しか出なかった場合でさえ時給に換算すると750円となり、最低賃金にも満たない状況。

だからと言って、自分だけが休むことも出来ない状況なのです。どの部活も一部の文化部以外は、当たり前のように休まず部活を行っているのだから。

78連勤していることに気が付きそれをバレー部の顧問に伝えると、相手からは「私は140連勤です」という驚きの答えが返ってきたのでした。

ブラック部活を生み出す原因とは

自分が学生時代に部活動をしていた時のことを思い出すと、練習は辛かったけれど楽しかった記憶も大きいと思うんです。みんなで「勝利」という同じ目標に向かって、部活動に打ち込んだ日々というのは楽しい記憶なのです。そしてそれは先生も同じで、楽しいのです。だから「ブラック部活」というものが生まれてしまうのかもしれません。

ある学校のサッカー部の顧問は、大きな大会に出場が決まった際に掲げられる垂れ幕を見て感動したそうです。

周りからもサッカーの指導者として一目をおかれるようになり、保護者からも声をかけられることが増えて、それが喜びにも繋がったのだとか。

いくらわかりやすい、おもしろい授業をしたって、保護者からそれを評価される機会はほとんどありません。でも、自分が顧問を引き受けている部活動が良い結果を残すことで、こんな風に評価されるのです。

「○○学校のサッカー部の顧問の先生は、良い指導をしてくれる。」そんな良い評判がついてきて、生徒たちも熱心に部活に取り組んでくれるのです。

練習は苦しくても、その努力が実を結び試合に勝つと、苦しさも楽しさに変わります。そうして休日よりも、家族よりも、楽しい部活の方へのめり込んでいってしまうのです。